
緑の小径に沿った2層の住まい
豪徳寺にこれまで住んできた建て主の住宅を建替え、1階をオーナー住居、2階を賃貸住宅にするプロジェクトである。かつて農地だった名残の世田谷らしい小径に面し、周辺の家の敷地には多くの緑も残されていた。
この土地に戦前から建っていた木造住宅の記憶を引き継ぎ、オーナーが暮らしながら賃貸住宅を営み近隣と変わらぬ関係性を続けていくことができる計画とデザインが求められた。
1,2階で周辺の緑を享受できる最適な位置にリビング・ダイニングを設け、1階の庭、2階のテラスの敷地境界からの「引き」の距離が近隣とのプライバシー確保とリビングからの眺望とを調停している。敷地形状に合わせた寝室、水回りの自然な配置とリビングダイニングへの動線により、日常的に南開口側の抜けを感じて生活することができる。
周辺環境に馴染む高さを設定し、1階天井高2.2m、2階は2.1mから2.3mの勾配天井で各層に割り振った。平面の大きさと相まって、人のスケールに近い心地よい空間ができたと思える。
またオーナー住居では既存家屋に保存されていた船の舵輪や飾り棚などを新たな壁面に合わせ掛けることができるようデザインした。
外壁材は米杉の下見板張りを建物周囲に張り巡らせている。内部の住まい手からは見えない外壁面であっても、近隣の住まい手が毎日目にする外壁は美しくありたいという住まい手の意識を実現することを心がけた。
住まい手や近隣住民にとり、まるで以前から建っていたかのような佇まいを実現すると同時に、偶然家の前を通りかかった誰かが、この家を横目に気持ちよく小径を通り抜けて行ってほしいと願っている。
A two-story residence along a green pathway