


























ストリート沿いに暮らしを楽しむ学生寮
神山まるごと高専 二期学生寮 ROOMS
- 用途
- 寄宿舎
- 所在地
- 徳島県名西郡神山町
- 構造
- 木造2階
- 規模
- 延床面積2074㎡
- 事業主
- 神山学園
- 構造設計
- 山田憲明構造設計事務所
- 設備設計
- 上久保設備設計
- 協働設計
- Island and office
- 施工
- 北島コーポレーション
- 竣工年
- 2026
- 写真撮影
- 鈴木久雄
地域の中で学生の成長を支える住環境
2023年に開校した神山まるごと高専の4・5年生が過ごす2期学生寮を,1期生が4年に進級するタイミングで計画した。神山まるごと高専は1学年約40人の全寮制で,2期学生寮には約80人の学生部屋に,学校スタッフやゲスト講師の宿泊室も加えた100室を計画した。100人が暮らす大きな家でもあり,彼らがお互いに出会う小さな街のような場所である。
最初の工事が完了し,1期生が入学してから3年が経つ。公開授業や学園祭のような学校行事から,地域住民との交流が始まった。 学生の中には,日常生活の傍ら,森林や田畑での生産活動,宿や店舗でのアルバイト,高専の先生が始めた放課後の地域まるごと学びの場への参加,リサイクル拠点のサポートなど,地域との関係を自ら構築し始める者も現れ,少しずつ地域に変化が起き始めている。
今回は開校後の計画であったことから,学生たちが建物を使いこなす様子を観察しつつ,学生や学校運営スタッフの意見をできる限りフィードバックするよう心がけた。一部学生のデザインによる造作家具なども取り入れている。
2期寮は大埜地校舎(OFFICE)の手前の坂を上がった小高い丘に位置し,本寮に住む学生たちはOFFICEや西上角校舎(HOME)で学び,学生食堂のあるHOMEと行き来する日常を送る。暮らしながら学ぶための環境を充実させ,HOMEの寮になかった視
覚的広がりや,OFFICEになかった学生自治による学びの場を作り出すことも課題として計画に臨んだ。
みち棟と棟の間を南北に通り抜けできるストリート(路)には,自由に使用できるBASEやCABIN,テラスなどのパブリック空間が面しており,寮生の共用部であるリビングを通り寮室へアクセスする。プライベート空間へ出入りするうちに,自然にコミュニケーションが生まれる計画である。路に面した空間は,学生たちの視線が行き交い,お互いの活動が視覚的に認識できる場所である。街歩きのように変化する視界の中で,学生たちに多くの出会いと切磋琢磨が生まれることを期待している。
雁行する生活空間が路を取り囲む空間の形式は,かつて旅した地中海の小さな中世の街で見た広場や街路のイメージが源だったかもしれない。住居や生業の場が一体となり,集合して暮らす豊かさを想い起みちこし,路と共に活気を帯びるような場面を構想した。学生たちはROOMSをどのように使いこなしてくれるだろうか。ここで暮らし,巣立っていく彼らの未来の路について想いを巡らせたい。

