昭和40年代に建てられた改修前の既存家屋
眉山の家Ⅱ
- 用途
- 住宅・アトリエ
- 所在地
- 徳島市
- 構造
- 木造1階改修
- 規模
- 延床面積60㎡
- 構造設計
- 高田建築設計室
- 施工
- 施工:山田工務店
焼杉材:共栄木材工業
昭和40年代に建てられた木造平屋建売住宅の改修
住宅でありながら、広い範囲の家族が集まったり、泊ったり、趣味に使うといった多様な活動を包むおおらかな共有スペースとして更新した。
以前改修した眉山の家Ⅰと中庭を挟んで建っており、それまでの暮らしの領域を拡張する試みでもある。
既存建売住宅の間仕切り壁や天井をとり除き、大小の単純なスペースと水回りに再構成した。
傷んでいた屋根と外壁を取り替え、外断熱工法により建物全体の温熱性能を上げている。それにより内部は既存構造体、小屋裏の2次部材や真壁のフレームまで建築当時のまま現すことができた。
また基礎や壁耐力面材の増設といった構造耐震補強を行うことで、次世代にも受け継げるよう建物の耐久性を増している。
建築当時の工法・職人の技術によって作られた構造体や竹木舞土壁などを既存部に見出せることができた。建売住宅であるにも関わらず新建材・工法の入ってくる前の状況であったと推察し、解体しながら設計を柔軟に対応させて、忘れられかけた技術を引き継ぐことを試みた。
広義の「地域」である四国産の材料をできる限り使うことを心掛けた。
外壁焼杉材は愛媛県伊予市の焼杉の製造ラインを持つメーカーから納入している。
内部造作材、建具・家具は四国内で採れる杉や桧の無垢材をジョイントし面を作ることで、すべて製作している。
既存竹木舞土壁は下塗り荒壁として利用し、その上から中塗りと上塗りを行った。
土は近隣の吉野川市で採れる土を使用している。石灰をまぜて塗ることで、高温多湿な気候でも土の風合いが長持ちする工夫を行っている。